あきれるくらい側にいて

ハルが気を遣うのも無理はない。日付はとっくに変わって、もう真夜中なんだから。

今にも帰り支度を始めそうなハルに、あたしは慌てて声をかけた。


「心配しないで! 旅行に行ってて今日は居ないの。だから今は二人っきりだよ、あたし達」

余計な心配させないために言ったのだけど、でも目の前のハルの顔を見たら……。

「どうかした?」


マンガみたいに目をまん丸にさせてて。しかも瞬きもしてないし。


「ハルー?」

「……あ。いっ いえ、なんでもないです。すみませんっ」


なんて、かなり意味不明な反応が返ってきた上に、焦りながらプルタブを引いたビールを勢いよく喉に流し込んだもんだから、あたしは首を傾げてしまった。

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