あきれるくらい側にいて
 
「そのぉ……シ、シたのかな?」


緊張でカラカラになった喉。
質問が質問だけに、恥ずかしくて目を合わせにくい。


だけどハルはキョトンってしながら、こう返してきた。

「何をですか?」

しかも、社内で大好評のスマイルまで付けちゃって。


「だから“アレ”だって」

「“アレ”ですか?」

「そうよ“アレ”って言ったら“アレ”でしょ!」


気づけばあたしの手のひらは汗で濡れていて。でも目の前にいるハルは、ンーなんて考えてこんでいる。

なんて鈍感な後輩なの!

じれったくて、彼を見つめるあたしの目にも力がこもる。

もうっ どうなのよ!?

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