あきれるくらい側にいて
 
「アクツくんのことですか?」


訊ねると、自販機のボタンを押した係長は「そう、ハルちゃん」とニンマリとした。

紙コップを手に隣に座った係長の手の内から、ココアの甘い匂いが漂ってくる。


「事業部にとられちゃったもんなー。もっとじっくりウチの開発で育てようと思ってたのに」


係長は、いかにもメタボなお腹を反らせて続けた。


「本音を言うと最初はさ、年を聞いて思ったわけ。どうせ使いもんになんねーだろうなって。
見た目もさ、ウチの若い女子社員には中性的とか言われてたけど。ただの今どきの若いアンちゃんじゃねーかってさ。でも…」

「でも?」

「ハルちゃんは違ってた。真面目なんだよなぁ~。ひたむきっていうか、それでちょっと頑固なとこもまたいい。
見たくれや学歴で判断してた自分を反省したよ」


そう言って苦笑する係長に、あたしもつられて目を細める。

でも次に話された言葉に、コップを口へ運ぼうとしていた手を止めた。

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