最後の人やな
帰りの電車はやたらと人が多い。

俺は人ゴミが大の苦手だ。

俺の人ゴミ恐怖症を象徴する出来事がある。

それは高校三年の秋のことだ。

受験を数カ月後に控え、学校では最後のリフレッシュにと近くの遊園地への遠足が催された。

最後の思い出に、と友人に連れていかれ、なんとか遊園地の駅まで着いたのはいいが、あまりの人の多さに圧倒され、俺はしっぽを巻いてみんなが帰ってくるまでひたすら近くのゲーセンの格闘ゲームでCOMをボコボコにしていたという話は今や母校の伝説となっている。

帰宅すると母親の味の薄い料理が待っている。

生まれてこのかた母親の手料理をうまいと思ったことは一度もない。

飯が済むとすぐ風呂に入り、そしてまたネットの世界へと入っていく。

毎日がこんな感じだった。

そうして、俺は自分の大学生活の味気なさに不満を日々募らせていった。

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