KYOSUKE


床に倒れた河野さんの上に乗りかかり、俺は乱暴に彼女の腕を頭の上で束ねた。


河野さんがびっくりして、そして次の瞬間怯えの色を浮かべた表情で俺を見上げてきた。


床に張り付けられた彼女の体は、人口の光の中浮かび上がり、


それが妙にリアルに見えて―――きれいだった。




思えば女に対してこんなにきついことを言うのも、乱暴するのもこれが初めてだ。


酷く心地悪くて、俺の中で「ヤメぇ!」ともう一人の俺が叫んでいる。


だけど止められなかった。





「俺があの人を思う気持ちは、まやかしやない!永遠なんてないって言うて、逃げてんのは、君の方やないか!!」





俺が怒鳴ると、河野さんはびくりと肩を震わせ、目にじわりと涙を浮かべた。


それでも気丈に俺を見上げてくると、


「鷹雄くんだって、あたしにその子のことを一瞬重ねたくせに!そうじゃなかったら、どうして部屋にあがったりしたのよ!」


河野さんの言葉に、俺の中で何かが壊れた。


いや、間違ってるのは俺だ。河野さんの言っていることは正しい。


だけど


こうまで俺の深いとこを突いてこられて、俺は正常な判断を失いかけていた。


俺は乱暴に河野さんの束ねた腕に力を入れると、彼女は俺の下で小さく悲鳴をあげた。


それでも構わなかった。


どんなに叫ぼうと、どんなに泣かれようと、


―――止めるつもりはない。




河野さんの怯えが混じった表情に、少しだけ気丈につり上がる視線を見て



俺の中で自分自身驚くほどの冷徹で残酷な悪魔が正常な部分をそそのかし、俺は彼女の細い顎を乱暴に持ち上げ、






「黙れや。ムカツクわ」






驚くほど低い声で答えると、強引に唇を塞いだ。







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