KYOSUKE



風呂から上がって、龍崎会長は俺を中華料理屋まで連れて行ってくれた。


―――のは良いケド…


正直さっき食べたばっかりだからきつい…


俺の胃はそれほどキャパシティが広くないのでね。


戒さんなら食えると思うけど…


ってかあの人の胃はブラックホールだ。“限界”って言葉を知らない。羨ましい限りだ。


俺がそれとなく腹を押さえると、


「おい、キョウスケ!お前麻婆ナス食え!!」


なんてドン!と注文した麻婆ナスを俺の前に置いた。


は…?意味分かんないんですけど…


「一富士、二鷹、三なすびって言うだろ?」


「はぁ」


俺は会長が何を言いたいのかさっぱり分からずに、目の前に置かれた麻婆なすを見つめた。


きっと普通のときに見ればうまそうに見えると思うけど…


今は胸焼けしそうだ。


「さっきの風呂で富士山を見た。それで、隣には鷹。あとはなすだよな」


ああ…そういう意味……


ってか意外にこの人、こうゆう迷信(?)めいたことわざとか気にするたちなんだな。


ちょっと意外……


って思ってたけど、


「さぁ食え!」


妙に生き生きした会長の爽やかな笑顔を見て、



いじめだ!



間違いなく!!



俺はそう確信した。





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