それでも君が。




それが、私とあなたの始まりだった。




愛しくて、温かい思い出。




まさか、あんなに人気者なあなたと付き合えることになるなんて、これっぽっちも思ってなかった。




あなたが、私と同じように、小さな頃から私を想っていてくれたとも、これっぽっちも思ってなかったの。




あなたは言った。




“ずっと、俺のこと男として見てくれてないのかもって、思ってた”




少し眉を下げて、優しい笑顔で……。




その笑顔が愛しくて、何だか切なくもあって……。




私はただ、あなたにしがみついた。




あなたはその大きな手で……




私を抱き締め続けてくれたの。




幸せで幸せで




溶けちゃいそうだったよ。










私が高校生になったばかりの6月。




あなたは、1つ上の先輩。










──1年前のことだった。




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