それでも君が。
そこには、存在感バリバリな2人、蒼君と晴君が立っていた。
蒼君は、よほど暑いのか、タオルを頭にぐるりと巻いている。
思わず、笑いが漏れた。
「蒼君、八百屋のおじちゃんみたぁい」
「え……俺あんなにテカテカしてっかな」
本気で表情を歪める蒼君に、私と澪ちゃんの笑い声が、一層高くなった。
周りの人は、その私達の声に反応してこちらを見るけど、蒼君と晴君の姿を認めるなり、ハッとした表情をする。
2人はバスケ部で、どちらもエース級で、背が高くて、……カッコ良くて。
嫌という程目立つの。
時々、他人のフリをしたくなることもある。
──でも。
「羽月。今日は一緒に帰れそうだから」
「ほんと?」
「うん。昇降口で待ってて」
「分かった!」
蒼君はいつも、そんな私の卑屈な思いを取り払ってくれる。
私の頭に手を置き、クシャッと一撫でして、蒼君はニコリと笑った。
私もつい、笑顔になる。
蒼君の笑顔は、周りにいる人皆を幸せにしちゃうの。
皆……その笑顔を好きになるの。