それでも君が。




「晴君!」





名前を呼ばれた晴君は顔だけこちらに振り向かせ、



「羽月か」



とだけ言った。



椎名先生に捕まったな……と、すぐに察した。



この先生、一見とてもいい先生なのだけど、とにかく人使いが荒いんだ。





「ご苦労さん」





晴君を働かせておいて、椎名先生は、窓際に椅子を置き、そこに悠々と座っていた。



窓を開けて、タバコを吸っている。



どうやら、さっきの2人の女子からはうまく逃れたようだ。





「プリント、そこだ」


「はい」





椎名先生の目線を追うと、机の上にプリントが乗ってるのが見えた。



そのプリントに手を伸ばした時──



そのプリントの横に、写真が置いてあるのが目に入った。




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