それでも君が。
「蒼君……どしたの? 今日……朝練は?」
「……今日から、朝練は出ない」
「……そ、か……」
「行こう」
私の顔をあまり見てくれないまま、蒼君は歩き出した。
朝は、ほとんど毎日朝練があるから、一緒に登校出来ることは少なかったのに。
──冷たいのか、優しいのか、分かんなくなっちゃうよ。
でも、こうして久しぶりに会えただけで、本当は飛び上がる程嬉しい。
「……羽月」
前を歩く蒼君が、前を見ながら私の名を呼んだ。
「なに?」
「今日はないけど。明日から、放課後、俺の部活が終わるまで待ってろ」
「……え?」
「一緒に帰ろう」
「……いいの?」
「うん」
「……分かった!」
現金だなぁと、自分でもしみじみ思う程、声を高く上げてしまった。
だって、今までは、部活で遅くなる日は先に帰ってろって言われてたのに。