アルホード王国
「何だ!」
「びっくりしただろ?」
悪戯っ子みたいな笑みを浮かべる、グレーの瞳の少年。
「なんだ、ここは…」
狭くて暗い通路のようなここを見渡し、レオンは言った。
「最近見つけた秘密通路さ!ここを歩いて行くと、城下町に出られる」
「本当か!」
「あぁ。俺たちの夢にぴったりだろう?」
ニヤッと笑い言った少年の名は、
――クリスレオナルド。
クセのない黒髪。
レオンほど高くはないが、長身で程良い筋肉がついている。
「レオナルド、本当に行くのか?」
「もちろんだ」
レオンは決意に燃える、クリスレオナルド――通称、レオナルドの眼をみつめた。
やっぱり、王子だ。
レオナルドは国を背負う、王の器がある。
まあ、無邪気で破天荒なところもあるのだが……。
「100人か…」
「アルだけでな」
アルだけで100人もの住民がダークレイドに拉致された。
レオンは図書室から失敬して来た書物を懐から取り出し、レオナルドに手渡した。
「たまたま、図書室に書記係が居なかったんだ」
レオンは“隠れ家”を出て、自室に戻った。