執事と共にお花見を。
明日、いや今日には散り終わってしまう――そんな気配を強く感じた。


恵理夜は、走った。


あの桜だけは、守らねばならなかった。

あの老人の、大切な人との思い出を、繋ぎとめる、最後の目に見える絆を――


恵理夜は、あの古木と化してしまった桜の元へ走った。

体力が落ちて、息が切れやすくなっているのに構ってはいられなかった。
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