執事と共にお花見を。
正確には、手首に残る点滴による留置針の痕――春樹も、病は違えど恵理夜と同じように薬によって命を支えていた。

日々、どれだけ平然と過ごしていようとも、二人が病に侵されているというのは揺ぎ無い事実だ。


――しかし、それを乗り越えて、抱きかかえ、受け入れながら、二人はこうしてここに生きている。


「……仰る通りでございます」


春樹は、完璧な所作で頭を下げた。


「そうそうお嬢様。朝、お渡しするのを忘れておりました」


と、小さな包みを差し出した。


「お薬の時間ですよ」


恵理夜は思いっきり顔を歪めた。
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