ティッシュに涙と少しの残骸
『全然』

と真っ直ぐ見て答えてきた。

【嘘だあ】

思わず口から出てきた言葉に気持ちを込めてしまった。だって今まで私の顔を見ただけでみんな逃げて行くのに、この人はどっしりと構えて私を見てくれるのね。

『俺的にもう少しほっぺに肉ついてれば合格かな』
【なんの合格なんですか】

可笑しくて彼に突っ込んでみた。
他愛もない世間話をしてアドレス交換をした。お互い名前で呼び合うのはそう時間はかからなくて。

『またな星流』
【猛、ちー助くんまたね】

ワンッ!
振り向いてふたりに手を振る。猛から貰ったカフェオレの缶宝物にしよう。笑顔で家に帰るのは久しぶりで嬉しくてなんだか少し変な気持ち…
誰も居ない家に入り部屋の鍵をかけて缶をテーブルに置くとコン、と響いた。
人と会話したのなんていつぶりなんだろ

“俺的にもう少しほっぺに肉ついてれば合格かな”

猛の言葉を思い出して部屋を出て冷蔵庫へ向かった。
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