ももいろ
まあいいや、と言って司くんはキッチンからペットボトルを三本持ってきて、ドレッサーに置いた。

「喉乾いたら、これ飲んどきなさい。じゃ、おやすみ」

部屋から出ていこうとする司くんを引き止めた。

「司くん」

「ん?」

「ごめんね」

司くんは、

「許さん」

とあかんベーをして出ていった。

あんな意地悪も、可愛いな司くん。

ライブの話、楽しみ…

お姫さま抱っこ、嬉しかった…



あたしはそのまま眠りについた。




長々と寝すぎて、変な夢を見たなぁ。

あたしはドレッサーに置いてあるお水を、一本一気に飲み干した。


司くんが、

「サツキさーん!許さんなんて嘘だよー!」

と言いながら部屋に入ってきて、

「なんだ、寝てる」

あたしにそっと近づいて、

「酒乱。大虎。バカ。…起きないな」

と耳元で言った後、

あたしの口に軽くキスをして、

「サツキさんならできるんだなー俺」

と意味のわからないことを言う夢とか。



谷川くんが、

三毛猫を50匹くらい家に連れてきて、

「タマ共、かかれ!」

って命令して、

たくさんの猫に飛び掛かられてアレルギーが出て全身ブツブツ、体中をかきむしりながら身悶えするあたしを指差し、

「ギャハハハハ!かゆいだろ!ザマーミロ!」

って爆笑する夢とか。



変なの。



さて。

小雪とコウジさんと晩ご飯の約束をしてるから支度しなきゃ。

顔を洗おうと部屋を出たら、リビングの壁にべったりと貼り紙がしてあった。



「禁酒!!」



…。



テーブルの上に、置き手紙がしてあった。

「サツキさん。俺、肉じゃがお鍋にあったのも全部食べちゃった。ごちそうさまでした。今日は帰り何時かわかんないから、おなかすいたら冷凍庫のカレーをチンして食べてね」

あ、今日は外食って言ってなかったけど、ちょうどよかったかも。

それにしても、お料理上手な司くんに、あの肉じゃがを食べられたのは恥ずかしいな。

あんなの食べて…そんなにおなかすいてたんだろうか。

あたしは手早く準備をし、待ち合わせ場所に向かった。
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