フラワーデイズ
しばらくして、パジャマ姿+ボサボサ頭のパパがリビングに登場した。

ソファーに座っている葵の隣りに腰を下ろして、一緒にミツバチ君を見る。

「葵、ミツバチ君に彼女はいるのか?」

「カノ…ジョ?」

パパ、5才児相手に何聞いてるの?

葵は頭に?マークを浮かべたような表情で首をかしげる。

「カノジョって何?」

「パパにとってママのような存在の人だよ」

「う~ん」

パパ、いくらなんでも難しいでしょ。

私は目玉焼きを作りながら、このおかしな会話に耳を傾けていた。

もちろん朝食のメニューにミツバチ君は入っていないが。

「じゃあ、質問を変えよう。ミツバチ君の好きな子は?」

「タンポポちゃんだよ!」

「そうか。それなら安心だな」

パパはさっきから何を言ってるんでしょうか?

そして何に安心したのでしょうか?

「じゃあ、葵の好きな子は?」

「蓮!」

これにはパパも言葉を失ったみたいだ。

すぐにキッチンに立っている私の方を振り返る。

「ママ!やっぱり葵は蓮が好きだって!」

「そうみたいね」

「くっそ~。今から神崎さん家に乗り込むか…」

「パパ、お願いだから近所で噂されるようなことはやめてね」

カッコよくて、優しくて自慢のパパだが、ちょっとどこかズレてるみたい。

でも、そんなパパを見ているのは結構楽しかったりもする。


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