ヤクザに愛された女 壱


「…いい、帰りもあれで帰る」


そう言うとあたしの
手を握り歩き始める龍二さん。


「…俺、忘れられてねぇか?」


後ろの方で海斗くんの
そんな声が聞こえたけど、


「…ヤバイ…」


あたしはそれ以上に混乱していた。


あたしは龍二さんに
聞こえない大きさで
そう言うと静かに
自分の手元をみた。



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