オトナな初恋
頼まれていた書類をデスクの中へしまい、鍵をかけて帰る支度をする。


更衣室へ向かうときにコピー室の方を見てみると、
もう電気が消えて真っ暗だった。


なんだ。早坂主任もういなくなっちゃったんだ。


人間って欲張りな生き物だな。


昨日までは姿が見れるだけで、それだけで良い。なんて思ってたのに。


それが今日、偶然にも話すことが出来た。


それだけでもう充分なはずなのに、
もっと…もっとって、更に欲がでてきちゃう。


もう…こんな偶然なんてないのかな?


そう思うと、あの場に留まって、積極的に話し掛ければ良かったな。


真っ暗なコピー室は私を不安な気持ちにさせた。
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