オトナな初恋

笹岡さん

『どういう事かしら?説明して頂戴。』


そういいながら奥の方へと進んで来た笹岡さん。
私の前までくると、総務の4人の方へ向き直る。


『どうしてこんな事したの?』


『…だって!納得できません!笹岡さんの代わりが今年入社したばかりのこの子だなんて!』


『それで?何か裏で手を回したとでも?』


『それしか考えられません…だから…』


それを聞いた笹岡さんはため息をついた。


『…確かに早坂君に頼まれたわよ?でも部長も、私も断ったのよ。』


『ど、どうして!?』


『自分の今やっている仕事を他人に任せて、早坂君の手伝いなんて出来ないって言ったのよ。部長もひとりでやれって命じたわ。
どうしてもそれが嫌なら誰か探して来いって。』


『そんな……』


『早坂君ならそういえば諦めると部長も思ったんでしょうね。でも…まさか本当に連れてくるなんて…ね。』


笹岡さんはそう言って私の方を見た。


『偶然桜井さんの仕事の出来を見る機会があったって言ってたわ。
それで桜井さんの上司に頼み込んで、人事も納得させての異動なのよ。』



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