【キセコン】とある殺し屋の一日

「･･････本気で噛み付きましたね」

「よいっちゃんこそ、あたしを投げ飛ばすなんて～っ！　酷いじゃないよぅ」

くるりと空中で一回転して、身軽に着地した藍が、またわからないことを言って唇を尖らす。

「ちゃんと断ってからしましたよ･･････って、ちょーっ！　ちょっとっ！！」

上体を起こしながら言った与一は、次の瞬間、飛び起きながら叫んだ。
銃口が、こちらを向いていたのだ。

「可愛くない～っ！　ほらっ！　そんな生意気なよいっちゃんは、こうなんだからっ！」

言うなり、ＳＡＡが火を噴く。

「らっ藍さんっ！　危なっ･･････！」

顔を引き攣らせる与一の、足元ぎりぎりの土が穿たれる。
盛り上がった土が、足の指先を汚すほどだ。

「ほらほらっ。機敏に動かないと、足ぶち抜いちゃうわよっ」

ガンガンと乾いた音を立て、藍のＳＡＡは、与一の周りを撃ち抜いていく。
与一は銃口を睨みつつ、僅かな動きで弾を避ける。