チョコ色の放課後


なのに・・・


初めてもらった直からのチョコが

さよならのチョコになった。



人生で一番幸せなはずだった。


初めてのバレンタイン。

2人でホテルの上の階にあるレストランで食事をした。

夜景を見ながら俺と直は、ちょっと高めのイタリアンを食べた。



目を合わせるとすぐにそらすその日の直を・・・俺は、初めての2人きりでのホテルでの食事に緊張しているだけだと思っていた。


2人でデザートを分け合った。

優柔不断の直は、いつもデザートをひとつに決めることができないんだ。


知ってるよ。


直のことなら何でもな。


直はそのままでいいんだ。


これからも、デザートを選べない直の為に・・・俺はちゃんと2種類注文する。


それを二人で半分ずつ食べよう。


なぁ・・・直。


どうして、そんなに悲しい顔でプリンの表面を見つめているんだぁ?




俺が直の手を握ると、直は目を潤ませて俺に微笑んだ。



今から思えば・・・

少しいつもの直と違っていた。



俺の目を見て笑ったかと思えば、すぐに視線を美しい夜景の方へ向けた。






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