切ない恋物語
帰る時間になった。俺は下に降りた。夢果の両親はまだ帰っていないみたいだ。





外に出た。夢果も出てきた。
「寒いね」
夢果が言った。
「だな。もう中入っていいよ。寒いから」
俺は言った。
「大丈夫。ちゃんと見送りたいから」





その時、雪が降ってきた。




「雪だ」



夢果は呟いた。俺は上を見上げた。




「初雪だな」




「うん。初雪」





「永遠、メリークリスマス」



夢果は笑った。





「夢果、メリークリスマス」



俺も笑った。





雪はまるで踊っているかのように、舞っていた。






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