恋の歌よ空に響けっ!!
特技…歌しかありません!!
ある日-----。

「いいわーこの曲。」
桜舞い散る季節に季節はずれの冬の失恋の歌が響く。
「この最後がいいのよねっ」
この春中学を卒業したばかりの
山崎夏南は大好きな歌手の歌を聞いていた。

あたしだってこのくらいは歌えるわ!!
少し調子に乗って夏南はベッドに立っておもちゃのマイクを持って熱唱した。
「らら~ら~」
歌は人を幸せにする。夏南が歌手になりたい理由はそれだった。
いつかトップ歌手になって小さい子からおじいちゃんおばあちゃんまでに笑顔を溢れさせたい!!
そう決めたんだ。
そして―。
夏南は机の上に置いてあった紙をとった。

『壮麗音楽学校』
歌手志望やオーケストラに入りたい子が通う学校で夏南は猛勉強の末
超奇跡的に受かった。
そして明日は待望の入学式。
部屋に飾られた真新しいブレザーの制服を見てニヤける夏南だった。


入学式当日。

やたらとデカい校門をくぐり見渡すとかなりデカい校舎が夏南を出迎えた。
既に蟻の行列のようになっている生徒玄関に夏南は向かった。
その時。
「――ちゃん!!」
「なーつーなちゃん!!」
見覚えのある声に振り向くと幼稚園からずっと一緒の幼なじみ
秋山可奈が物凄いスピードで走ってきた。

「いやー途中で夏南ちゃん見えたからさー」
「ごめん!!気づかなかった」
「いいよいいよ。てかさ早くクラス見に行かないとヤバくない?」
「そうだね!!」
可奈と私はクラス表が張ってある生徒玄関に走った。
「えーっと…あたし達はコーラス科だからっと……えっとB組……あった!!また夏南ちゃんと一緒だっ」
「やったー!!可奈これからもよろしくね」
「もち☆」
あたし達は急いで教室に向かった。
ドアを開けた瞬間クラスのみんなに注目された。「あたしはあっち。」
可奈は窓際の一番前であたしは廊下側の一番後ろ。前が女子で隣は…
寝てる!?入学式早々寝る一年は彼だけだと思う。
その時勢いよくドアを開けて担任が入ってきた。
いかにも体育系な教師だった。
「おい。皆注目!!担任の坂畑靖史だ!えーっと…科目は体育ちなみに奥さんいて子どもは三人。3才と7才と8才だ!!」
するとクラスの男の子が
「聞いてませーん」
と言って笑いが起きた。
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