機械仕掛けの冒険者たち
神様との会話
世の中には、神様から幸せになることを許されない人間というのが結構存在する。

彼らは決して到来することの無い明るい未来に向け、決して照るのとの無い光の温もりを夢見て、毎日健気に生きている。

必死に働き、最低限の栄養と睡眠をとり、毎日の無事を祈っている彼らの前を、多くの『幸せな者たち』はあっという間に追い越していった。

それでも彼らは自分の道を信じて歩いている。必死になって歩き続ける。彼らは一点の曇りも無い澄んだ瞳で前を向き、明日を信じているのだ。
しかし神様は決して彼らを許さなかった。幸せになることを永遠に禁止しているのだ。

そして僕も禁止された種類の人間だった。

僕はこれまで全自動的に生命を維持しているかのように生きてきた。それは直感として、幸せになれない事を自然に理解していた。

そして僕は初めて自分の意志で神様に話しかけてみることにしたのである。
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