失ったモノ

夕方、家に到着しました。

「ただいま、お祖母ちゃん」

「おかえり。学校はどうだった?」

「うん…。いつも通り、かな?」

一部の人を残して無視される日々。

今ではすっかり慣れてしまったけれど、諦めることだけはしたくないです。

「みんな、ご飯できたわよ」

ちょうどわたしが帰ってきたところで、夕ご飯ができたようです。

「今日はハンバーグなんだね。運ぶの手伝おうか?」

わたしは笑顔でお母さんに声をかけます。

けれどお母さんの眼は、わたしに向きます。

「お母さん…」

ふと、お母さんの動きが止まりました。

まるでわたしの声が届いたように。

「あっ…」

「母さん、運ぶの手伝うわ」

しかし横から妹が声をかけ、お母さんは妹の方を向いてしまいました。

「えっええ、お願いね」
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