+ love song +


数十分後。
車の中のBGMと少しのエンジンの音を二人無言のまま聞きながら煙草に火をつけ窓を開けると
タイミング良く爽歌と親父が戻ってきた。


「待たせたね。」


「いや全然。

そっちは
ゆっくりできたか?」


『うん。』


と眼鏡を握ったまま緩く笑みを作った爽歌の顔には幾つかの涙の筋があった。

そして服の袖口には少し濡れた跡があった。

こんな時に思う事じゃないんだろうがその顔がとても綺麗に見えてつい魅入ってしまう。


「つかもう大分暗くなってきちゃったけどこれからどうすんの?」


と言う大翔の問い掛けにはっと我に返り腕時計で時間を確かめる。


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