男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-

「えっ!?なんでっ!?」


ワイヤーアクションで上から登場した陽を見て、ファン達が驚いた表情を見せる。

陽はステージに降りると、ワイヤーをとり、自然に曲に合わせて踊りだした。

「なんで陽が二人!?」

「えっ!?なんで!?」

会場がざわつき始める。

スカイのメンバーも驚きを隠せないが、1番動揺していたのはことりだった。

ちょうど曲が終わった時、メンバーは陽に駆け寄る。

「お前っ、何処にいたんだよ…」

なるべくファンには聞こえないように南は言う。

陽は後で説明すると言ってから、いつもの笑顔を見せた。

二人の陽を見て、状況が読めないファン達は騒ぎ出した。


刹那、BGMが流れる。


スクリーン画面が切り変わった。

そこに、見たことのある影が映し出される。

全スポットライトがことりに向けられ、全員の視線が彼女に注がれた。


「…ことり?」

「まさか、」

何かを察したメンバーが陽に視線を向けると、

彼は嬉しそうに頷いた。


パァン!パァン!

とクラッカーと似たような音が響き、会場にキラキラとした紙吹雪が舞落ちる。

そして、巨大なスクリーンにことりが映し出された。


「…え?」


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