セブンデイズ・リミテッド(仮)


 だが少女は振り向くことなく、尚も歩き続ける。





「っ!―――待ってくれって!」





 駆け寄り、少女の腕を掴む。

 ここで離したらきっと……きっと、後悔する!





「また……会えないか?」





 その問いに、少女はようやくこちらを振り返ってくれた。

 だがさっきとは打って変わり、無表情な顔。初めて見たときと同じく、ただ真っ直ぐに、オレの顔を見ていた。





「ダメ……か?」





 その問いで、少女はようやく口を開く。


「えぇ。だってこれは」

「――――?」


 瞬間、目の前が歪(ゆが)む。

 強烈な眠気に襲われ、オレはその場に膝を付いた。それでも耐えながら、なんとか腕に力を込め、顔を上げた。


「だっ、て……なん、な……、んだ?」


 閉じそうな目蓋に、ありったけの力を集中させる。

 こんなところで終わりにしたくない。そんな気力だけが、オレを支えていた。





「――――だってこれは」





 少女の声を聞くと、眠気が増すように思えた。このゆっくりとした、優しい口調がそう感じさせるのか。





「――――これはただの」





 既に半分、意識は落ちていた。それでも、残り半分の意識を保とうと食いしばる。





「ただの――『夢』だから」





 がくん、と意識が完全に落ちる。

 最後に見たのは、とても優しい、けれど悲しく見える顔で。

 見たことのない、少女の顔だった。
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