変わらない夕焼け


ふと足元を見ると
さっきの猫がてくてくとついてきていた


「…しかたねぇなぁ…
飼ってやるか、その代わりお前、ちゃんといい子にしてろよ?」

ひょいとその猫を抱く

「名前は何がいいかな…
いっそのこと`猫'とか?」

どうだ?と猫に聞くと
「ニー」と答えたから
名前は`猫'に決定した


ずっと腕のなかにいる猫を見ていた視線を上に上げると
前の広い道を通る人と目が合った

やっべ、今、猫としゃべってたの聞かれた?
恥ずかし…変な人みたいじゃん


…いや、しかし、
それにしたって見すぎじゃね?

目を細めながらじっと俺を見てくる人
今どきな感じの女

淡いピンクの上着を着て
真っ白なひらひらしたワンピース
少しカールした髪を横で一つにまとめている


「…あっ、わかった!」

俺を見てぱっと指を差すそいつ

何がわかったのか
俺にはさっぱりわかりません。

「雪斗…?」


…え?



いや、まぁ、確かにそうなんだが
何故、初対面の人が知ってんの?
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