変わらない夕焼け


雪に会えて嬉しい
でもタイミングが悪かった

たとえ感情のこもってない会話になっても

顔を見られないようにしてた


雪に泣き顔を見られるのは
絶対嫌だ


―泣いた?―

そう聞かれて、触れられて
どきりと心臓がはねた

諦めたはずの感情が
懐かしく
舞い戻ってきたかのように
ドキドキと心臓がうるさい


こんな顔じゃ隠せるわけ無いのに
`泣いてない'なんて、
案の定
言い返せなくなるし

二股かけられて
ふられたこと話すとか
かっこわるいなぁ、私


恥ずかしいし
また涙は出るし

本当にどうしようもない
なんて思ってたら

「うち来るか?」

雪の言葉が理解できなかった

うち来るか?って…
同棲するかってこと?


その疑問は次の言葉で消え去る


`婿候補'いきなり何を
言いだすんだこいつは…


急に巡る古い記憶に
恥ずかしくなった



「もぅ、昔とは違うんだから」
ついとそっぽを向いた

「案外、そーでもねぇよ?」
不意に雪が言う
雪の方を向き直せば
べつにこっちを見るわけでもなく
ただ正面を見据えていた

「はぁ?」

何が?
…そう聞く前に雪が言葉を続ける


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