記憶の中で…


退院してから三回目の診察だった。

先生はナツキの怪我はもう大丈夫だと、太鼓判を押してくれた。それから記憶の話を聞いて、ここの病院で一番長くいる先生に聞いてくれる事を約束した。

帰り際、頭を打った場合、何年も経ってから後遺症が出る事があるから、少しでも異変に気づいたらすぐ病院に来る事を念押しされた。

「よかったね、何もなくて。」

「うん。それにしても、先生不思議そうだったな。何でいつもユキがついて来るのか。一人で来れるだろ?なんて言われた。」

「仕方ないじゃん。ナツキは甘えん坊なんだもん。」

「おい。」

首に腕を回され、頭を拳でぐりぐりされた。

「い…いたたた…痛い。」

その時、ナツキのケータイが鳴った。

ホッ、助かった。加減ぐらいしろってのよ。痛いんだから、もう。




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