記憶の中で…

告白《ナツキside》



家に帰ると明かりが点いていた。

「ただいま。」

玄関を開けると父さんの声がした。

「おかえり。遅かったな。今日は病院へ行く日だったのか?」

「いや。」

「…ユキさんと一緒か。相手は女の子なんだし、もう少し早く帰ったらどうだ?」

そんな事いちいち言われなくてもちゃんと送って来たよ。

ムッとして返事をする代わりに本題を切り出した。

「話…あるんだけど。」

「食事…まだなんだろ。先に食べろ。ビーフシチュー作ったから。」

食事を済ませてもう一度、「話がある。」と伝えたが、「明日早いから、今度の休みでもいいか?」と言われた。

「何で?何で今じゃ駄目なんだ。俺は今話したいんだ!」

「そんなに急ぐ事か?」

「ああ、急ぐ。もう10年も待ったんだから充分だろ?」




< 112 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop