記憶の中で…


父さんの顔色が変わった。「なぜ知ってる。」と言いたげだ。

「俺の記憶が戻りつつあるのは知ってるんだろ?今まで色々調べた。誰も教えてくれないから、自分で調べたんだ。正直に答えてよ。俺は父さんと母さんの実の子?」

「……。」

「ふ…、答えられる訳ないよな。俺の記憶では、俺の名前は高島夏樹だ。一ノ瀬夏樹じゃない。俺はいつから一ノ瀬になったんだ?戸籍を見ても、一ノ瀬泰造と志保の子は夏樹になってる。本当の一ノ瀬夏樹はどこなんだよ。」

「……。」

「教えようか。本当の一ノ瀬夏樹は10年前に死んでる。この世にはいないんだ。なのに何で戸籍がある?」

「……。」

「黙ってないで答えろよ!!」

「そこまで調べたのか。ちょっと待ちなさい。」




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