記憶の中で…


「熱くなり過ぎないように気をつける。ありがとな。んじゃ、帰るわ。」

ナツキの言葉でいつの間にか家の前にいる事に気が付いた。

「送ってくれてありがと。」

軽く右手を挙げて帰っていくナツキを見送った。




当日は雲ってたけど、雨は降りそうではなかった。

予定通り体育祭は始まった。

私たちの学校では体育祭は結構盛り上がる。

100m走では走りに自信のある先生が、高校生相手に本気になって走るし、

飴食い競争では、飴の数をわざと一つ少なくしてあるから、最後になると飴の代わりに顔を粉の中に突っ込まれる。

それに10人11脚なんてのもある。

だから足が遅いとか速いとかあまり気にしていない。

私の出た障害物競争では網を潜る時、網を押さえられて苦労したけど、何とか一番になれた。

ナツキを見るとこちらに腕を突き出して親指を立ててくれた。

まるで“よくやった”って誉めてもらったみたい。




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