記憶の中で…


「うへー、びしょ濡れだ。ちょっと待ってろよ。」

そう言って家の中へと上がっていくナツキ。

ここはナツキの家?

「上がって来いよ。ここで体拭け。」

そう言ってバスタオルを投げて寄越した。

静かな家。
綺麗に片付けられてて、はっきり言って生活感がない。

「ナツキ。お家の人は?」

「ん?もう少ししたら父さんが帰って来ると思うから、そしたら車で送ってもらう。」

「お母さん…は?」

「今は…いない。体調が良くなくて、入院してるんだ。」

「そう。」

奥からピーピーピーと音が聞こえた。

「風呂沸いたから入って来いよ。濡れたままだと風邪引くし。その間に制服乾かしとくよ。はい、これ着替え。俺のだけどないよりマシだろ。」

スエットを渡してくれた。

「ありがと。じゃあ、お言葉に甘えて。」



何か図々しくお風呂にまで入っちゃったけど、よく考えたらこの家に二人きりで、しかも今私は裸な訳で。

…マジ危険なんじゃないですか?

ナツキが何もしないなんて保証はどこにもない。

急にドキドキしてきた。

早く帰らなきゃ。




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