記憶の中で…


「ナツキ。お風呂ありがと。」

「あれ。もう上がったの?よく浸かったのかよ。」

私の頬を触った。

「そんなに温もった感じじゃねーな。まだ制服も乾いてねーし、もっぺん入って来い!」

また風呂場に入れられちゃった。何だかナツキってお母さんみたい。クスッ。

照れ屋で、強引で、いたずらっ子で、子どもみたいで…。

やだ。まるっきり夏樹じゃんか。昔っからこういうタイプに弱いのか、私は。

今度はゆっくり浸かってから上がった。

「ナツキ、ありがと。ナツキも早く入りなよ。風邪引かないうちに…あ。」

リビングを覗くとそこに居たのはナツキのお父さんで、バッチリ目が合った。

「ご、ごめんなさい!お邪魔…してます。初めてのお家でこんな…お風呂、ナツキの服…えっと、えっと…。」




< 42 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop