天神学園高等部の奇怪な面々Ⅲ
「熊は死肉を食う習性もあるんだ…遭遇した時に死んだふりをするのは自ら死を招くような行為だぜ?」

そう言って宜虎は、目の前の熊と対峙する。

身長こそほぼ同等の両者だが、人間と熊とでは力の差が桁違いだ。

幾ら木刀を持っている宜虎でも、ツキノワグマ相手に勝てる筈がない。

芽々はそう考えていたが…。

「おいおい、ご挨拶だな」

宜虎は木刀を肩に担いで下駄履きの足で岩場を踏み締めた。

「ガキの時分から剣術修行に明け暮れてた俺が、たかが熊っころ一匹に負けると思ってんのか?」

「く、熊っころって…」

芽々が震えながら言う。

恐怖の余り、上手く噛み合わさらない歯がガチガチと音を立てていた。

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