ひきこもり恋愛相談所【完】

違う意味ではりついた空気の中、兄貴がゆっくりと口を開く。


「奥様、ラウンジのほうに準備が整っております。」


「わかった。行くとしよう。」


そう言いながら踵を返す。


「沙紀、あれは冗談などではありません。」


「・・・はい。」


「ここを出るからには、それなりの覚悟を持って出なさい。」


「・・・・・。」


沙紀の母親が、行った後も続く沈黙。


口を開いたのは、兄貴だった。


「わかっただろう?蓮。」


奥歯が軋む。


歯痒い気持ちでいっぱいになる。


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