御曹司の溺愛エスコート
「あそこに残して行くと思うと、心配で落ち着かない」


その言葉を言った途端、桜が顔を上げて何か言いたそうに蒼真を見た。


「……」


グランマが亡くなってから何でも1人でやってきた。この場所が好きだけれど……日本は長年住み慣れた場所。ずっと日本を恋しく思っていた。


「意地を張るのは止めてくれ。日本へ来るんだ」

「……日本へ……行きます」


1人で大丈夫と思ったのに言ってしまった……これで私は蒼真兄さまから離れたくなくなる。


「そんなにショックだったのか?」

「え?」

「クリスタルの置物だよ」

「ん……」

「あとでプレゼントするよ」

「いらない……もう残るものはいらないの」


置物の事を思い出して、また目頭が熱くなった。






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