御曹司の溺愛エスコート
蒼真はふたりを黙って見守っていた。


早口の英語でリサと会話する桜に、3年の月日が長かった事を思い知らされた。
ハーフの桜だが学校の英語の成績はあまり良くなかった。
会話など苦手と言ってよいほどだ。
それが流暢に少しシカゴの訛りも入り会話している。


桜が突然振り返り、蒼真を見た。


「リサ、彼はソウマ アキヅキ。私の従兄です……リサ……私、日本に帰ることにしたの」

「リサ。今まで桜に良くして下さってありがとうございます」


蒼真が手を差し出すと、皺のある手で握られる。


「あんたが迎えに来てくれて良かった。ここはサクラには厳しすぎるから」


リサはいつも桜を気にかけていた。
実の孫のように可愛がってくれていたのだ。


「はい。つらい思いもたくさんしてきたようですね。これからは不自由のない生活をさせますから」


そう言うとリサの目から涙が流れた。


「キャサリンも喜ぶよ。サクラの事が気ががりだとずっと言っていた」


桜の祖母は余命少ない大変な時期も、孫ばかりを心配していた。


「グランマ……」


桜を理解し、優しかった祖母を思い出して桜の涙腺が緩んできた。
そっと涙を拭う。


少しして桜と蒼真は病院をあとにした。


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