御曹司の溺愛エスコート
蒼真もその猫の置き物が初めて桜に買ってあげたものだと覚えていた。


桜は猫の置き物を大事そうにコートのポケットに入れた。


スーツケースは隅に転がっており、確かめると中からサランラップが出てきた。


桜はバッグから鍵を取り出し、サランラップを持って部屋を出て行こうとした。


「桜、どこへいく？」

「これをリサのところに置いて来るね」


リサの部屋を開けてテーブルの上に６本のサランラップを置いた。
置くと鍵をかけてすぐ部屋に戻ってきた。


そんな桜を蒼真は入り口のドアに立ち見守っていた。


「必要な物だけを詰めるといい。あとのことは業者に任せよう。送ってもらえばいい」

「はい……」


それほど家財道具があるわけではない。
桜は必要なものをスーツケースに詰め始めた。


< 110 / 356 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop