御曹司の溺愛エスコート

愛人

「愛人として私の側にいるんだ。不自由はさせない」


結婚がだめなら愛人……。
そうでも言わなければ、桜が自分から離れてしまいそうだった。


「……愛人でいい」


かすかに聞こえる声で言う桜に、またも蒼真は苛立ちが増した。


結婚は駄目で、愛人なら良いと言う桜。


どうかしている。


蒼真は怒りに任せて桜を立たせた。
そしてライトブラウンの髪に手を差し入れ、少し乱暴に上を向かせて唇を重ねる。


「んっ……」


優しさのかけらもない、貪る様なキス。
そんなキスでも桜の身体は熱くなっていく。


気がつくと、ベッドの上に寝かされていた。
蒼真の指はブラウスのボタンを次々と外していく。


従順な桜。


「身体さえ差し出せば私が満足すると思っているのか?」

「……」

「桜、なにか言ってくれ!」

「愛人は……そういうものでしょう?」


蒼真の愛撫する指が止まる。


「桜? 本気で言っているのか?」

「愛人でいいから……好きにして……」


胸が痛む言葉だった。
桜の心の闇は自分では癒せないのか?


人形のように横たわる桜から離れた蒼真は部屋を出た。




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