御曹司の溺愛エスコート
ガランとしたリビングルームは落ち着かない。
大きな窓辺に立った蒼真は暗くなった外に目をやる。
しかし、景色を見ているのではなく、桜を思っていた。


桜の心はすぐに解けるものではないな……。
時間をかけて溶かしていくしかない。


蒼真の桜への愛しい気持ちは増すばかりだった。


どうしたらこの手から飛ばないでいてくれるのか……。
いっそ……鎖で繋ぎとめておきたい。


しばらくして桜の様子を見に行くと、毛布にくるまりぐっすり眠っていた。


「桜」

「ん……」

「食事に行かないか」

「眠いの……」


桜は再びすーっと眠りの世界に入っていった。







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