御曹司の溺愛エスコート
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手術が無事に終わったのは、午後2時を回っていた。


蒼真は手術着のまま、成田のホテルに電話をし桜に繋ぐように頼む。



『お出になりません』


フロントの女性が言う。


「眠っているのかもしれない。具合が悪かったのでね。見に行ってほしい」

『かしこまりました』


少しして、ホテルのコンシェルジュからの電話に蒼真は落胆した。


桜は部屋にいなかった。
スーツケースも無いとのこと。


桜はシカゴへ帰ってしまったのだ。


「くそっ!」


ちょうど部屋に入って来た真琴が荒い声に驚く。


こんなに感情をあらわにする蒼真様は3年ぶりだわ。
蒼真様と私がフランスから帰国すると、桜様はシカゴの祖母の家に行ってしまっていた。
あの時、母親に暴言を吐く蒼真様を初めて見た。
今はあの時のように、かなり苛立っている。


「真琴、愛理さんに変更の連絡は?」


今日の15時、愛理に会う予定だった。


苛立った声で聞く蒼真に真琴は頷く。


「はい。お電話しておきました。パーティー前に会えないので、がっかりしていたようです」


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