御曹司の溺愛エスコート

真実

そんな事があったとは……。


あの時の話を桜はしたかったのだと、今さとった。


俺はなんという事をしてしまったんだ。


パーティー会場に戻った蒼真だが、たった今知った真実に愕然となりながらバーカウンターへ向かう。


飲まずにはいられない。


そこへサテン地の艶やかなシルバー色のドレスを着た真琴が近づいた。


「今日はもうお控えください。蒼真様」

「……真琴、明日のシカゴ行きのチケットを用意してくれ」

「明日は横浜で医療シンポジウムがあります」


真琴は明日のスケジュールを頭の中で確かめて告げる。


「キャンセルしてほしい。明日から数日の予定を調整してくれ」


招待客として出るあのシンポジウムなら問題ない。
桜に会わなければ。


望が厩舎の火事で亡くなった事で、一緒にいた桜は皆に責められた。
自分もそのうちの1人だ。
訃報を聞いて急いでオーストラリアから帰ってきたが、望の死で動転していた。
桜は煙を吸って軽いやけどを負ったため、3日間入院した。

病院のベッドの上で、声が出ない桜は必死に首を横に振っていた。

その姿を思い出すと、胸が詰まる思いだ。

火事の原因は2人の厩舎での火遊びだと聞いていた。
3頭いた馬が無事に逃げられたのが救いだ。

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