御曹司の溺愛エスコート
「何を言ってらっしゃるの? 今日婚約したばかりなのに。冗談は言わないでください」


愛理はテーブルをまわって蒼真に近づく。


「冗談じゃない。俺には他に愛している人がいます」

「愛している人……?」


微笑んでいた愛理の表情がさっと変わる。
愛理は蒼真が愛しているという女性の顔を思い浮かべた。


「蒼真さんの愛している方って……桜さん?」

「そうです。なぜそれを……?」

「おば様が言っていました。一昨日紹介された女性が蒼真さんの愛した人だと」


母がなぜそんな事を?


「年が10歳も離れているじゃないですか。あんな子供のような子を愛しているだなんて」

「母が何を言っていたんだ!」


愛理に話した母親に怒りを感じ、いつもの冷静な蒼真ではなかった。


「おば様は……桜さんに私達を見せつけるために呼んだって……」


蒼真に大きな声を出された愛理は驚き、戸惑いながら口にした。



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