御曹司の溺愛エスコート
「俺はそれでもかまわない。桜がほしい」


蒼真の口から自分をほしいと言われ、桜は嬉しかった。
しかしすぐに落胆する。


蒼真兄さまが私を欲しいのは愛しているからじゃない……。
あの事件の全容を話していないのに許してくれるはずがない。


蒼真は桜の苦しむ姿は見たくなかった。
自分の側に置けるのならどんな理由でもつける。


「私はハリーを愛してるの」

「では、ハリーと会わせてもらおうか」


ダメだ……私が蒼真兄さまに口で勝てるわけが無い。


「今は……出張してるの」

「昨日の時点で彼を思い出さなかったんだろう。お前はハリーを愛していない。彼の事は忘れろ」


蒼真は桜をグイッと引き寄せると唇を重ねた。


「ん……っ……い、嫌っ!」


唇が割られる前に、桜は思いっきり顔を逸らした。


「嫌っ!」

「桜。ダメだ……もう逃げられないよ」


顔を逸らした桜の華奢な首が蒼真の目に入る。


唇が鎖骨に触れる。


「っ……あ……」


桜は蒼真の胸に手を置き抵抗を試みる。



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