色に香りに摩訶不思議



「ほら、上條さん! 座り込んでないで立ってください」

 無理矢理に上條麗子さんを立たせると、今度は大急ぎでスカートをはかせる鴇田倫子さん。

「あたしのブラウス心地よくない……あたしのスカート心地よくない……ハサマ君の香りがしないから」

 ――あの生真面目で杓子定規な生徒会長の上條さんが……

「こんなブっ壊れキャラだったなんてさ、ボクはビックリ仰天しちゃったよ」

「あたしだって、こんな上條さんにはビックリ仰天しちゃったわよ」

 ――鴇田さんは目を点にして上條さんを見てるけどさ……

 ある意味、鴇田倫子さんも同類なんじゃないかなぁ~と、彼女がはいているボクのズボンを、ボクはシラケタ顔をしながら見ている。

「でも、よく考えたら……あたしたち三人、バカ丸出しの姿だわね」

「鴇田さんさぁ、あんたからバカ丸出しとか言われたくないんだけど」

 鴇田倫子さんのバカ丸出し発言にスカート姿のボクは爆笑するしかなかった。

 ――ボクは鴇田さんのスカートをはかされ、鴇田さんはボクのズボンをはき、上條さんはボクのトランクスをはいてるし……

「あんたら女子二人がさ、このバカ丸出し状態を作ったんだってさ、ちゃんと自覚してくんなきゃ困るんだけど」

 ――まだ爆笑が止まらないボクだし……


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