今カノの私と元カノの存在



体だけだから。


だから元カノの友達であるアヤ先輩には……



「言えなかった……」


「ケイ?どうした?」


「あっ、ううん」



扉を開け、廊下で待つシュウさんに首を振って外に出る。


呟いた言葉は聞こえてなかったみたいで少しホッとする。



考えないと。


頭を整理しないと。



差し出された手。


いつもなら迷わず握る大きな手。



最後かも。



一瞬ためらったけど、勇気を振りしぼって握り返す。


暖かくて大きな手。


ギュッと握られると嬉しかった。



ホントに嬉しかったんだ。



だけど、今はただ苦しいだけで。


振り払う勇気もなく、カチャンと鍵の閉まる音が遠くで聞こえたような気がした。





< 117 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop