さよなら、ブラック




「なに?」




男は首を傾げる。




「名前、なんていうんですか」




わたしのその問いに、男はにんまり笑った。




「大木 歩(オオキ アユム)。キミは?」




「わたしは、久我(クガ) みちる」




「みちるちゃんね。OK、覚えた」




そう言って、その場を去ろうとした歩は、もう一度振り返り、




「俺、あそこによくいるから」




と言って、軽く手を上げ去っていった。








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